どのような学生時代を送られたのですか。

　徳島出身なので、大学は都会に行きたいと思っていました。でも、受験に失敗して愛媛の大学に行き、「劣等感」というのをずっと感じていたんです。四年間は劣等感をごまかすために、いろんな大学デビューをしました。ギャンブルとか恋愛とか、要は遊びほうけていたわけです。僕はビジネスではないけど、アルバイト先、ギャンブル、麻雀で、おじさんたちと遊んでいました。今から思うと、初めて社会人と関わったのはこの時やったし、社会勉強をさせてもらいました。学校の勉強は全然してないけどね。

社会人との関わりで、どういうことを学びましたか。

　例えば、パチンコ屋にいたおじさんから、競輪の券を買ってくれと頼まれて、60万円預かりました。20歳ぐらいの時に、60万円で車券を買うとか、飲みに行って一晩で10万、20万円使うとか衝撃でした。そういう自分の振幅を越えたお金の使い方を知りました。また、バイトをして、学生時代に最高48万円稼げた月がありました。

　肉体労働で自分の時間を切り売りしていく限界は、48万円がマックスなんだと実感しました。やっぱりお金の作り方というか、仕事の作り方には限界があるなと感じました。働く時間の切り売り、資本主義、労働者の限界があるので、これだけ働いて40万円しか稼げないのは馬鹿馬鹿しいなと思って、この働き方は一生できないと考えるきっかけになりました。

　感覚的に、社会の中でのお金の使い方や、ギャンブルの仕組みを知って、大人のずるさや優しさ、世の中の矛盾、社会の理不尽さや、生きていく困難、働く尊さをすごく実感しました。それと同時に、50歳近い親父が毎日朝から夜まで働いてお金を稼いでくれているから、自分はここまで生きて来られたのだと思うと、親に対する感謝が芽生えました。

その経験から社長になろうと決めたのですか。

　労働の限界を感じていたと思うし、受験に失敗した劣等感がありました。そんな中でも「俺はこんなはずじゃない」みたいな、このまま終わらないみたいなのはあったと思います。要は人のせいにしていました。でも、結果としてそれでは駄目だと思い、漠然と「将来、社長になりたい」と思い出しました。当時は、前向きというよりは、劣等感を払拭するという意味合いが強かったと思います。

大学を卒業されてから、どういうキャリアを積まれたのですか。

　社長になるには、お金を貯めないといけないと思っていました。だから、徳島県内で給料が一番高い会社入ろうと思い、シンクス株式会社（現ノヴィル株式会社）という会社に入りました。そこでは、3年間お世話になりました。でも、会社を作るために徳島に帰ってきたという思いがあったので、3年で辞めた後、1000万円を貯める方法を考えました。

　当時知り合いの方から、長距離トラックの運転手で、ボーナスが100万円を越えると聞き、長距離トラックの運転手になろうと思いました。あとは、勉強が嫌いなのに弁護士などの士業になれば、コンサル報酬が高いだろうと思いました。トラックの運転手になるか、士業になるかを迷って、結局は士業を選びました。不動産鑑定士の資格を取るための勉強をしつつ、8年、9年不動産コンサルの世界で働きました。結果としてはその時の不動産知識と人脈が今に生きています。

次の記事では、起業とその試練についてお聞きしました。

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