「ResQ」誕生について、詳しく教えてください。

　僕らの業界では、お客様との最初の接点は、ハウストラブルです。そこをめがけていけるような仕組みを作ろうと考え、「ResQ」というアプリサービスを開始しました。

　業界の中でも、下請けや孫請けは、本当に弱い立場です。僕らが最初に100万円で見積もりを出しても、値段のたたき合いで、相手は80万円を切った数字を提案してくるようなことばかりなんですよね。すると、結果的にご飯は食べられても、将来は無いのです。

　そういう立場にいる人は、いずれ脱却をしたいと思っている人がほとんどなのですが、なかなか手の打ち方がわからないのです。だから、元請会社からの仕事だけでなく、一般の方と直接つながりたいと思っても、チラシを打って終わりなのです。それでは、だめなんですよね。

　最初にお客様と接点を持てるのは、ガラスが割れた、水が漏れたといった緊急性の高い時、つまりトラブルです。悪質リフォームの訪問販売が問題になりがちですが、リフォームで現場を見せてもらうのは、けっこうハードルが高いです。でも、トラブルが発生した時は、お客様から「早く来て」と言われるのです。

　あんなに敷居の高かったお家に「こっちこっち」と招かれ、最低限の仕事をすれば「ありがとう」と言ってもらえる。「ほかにも、何かあれば言ってくださいね」と言うと、トラブルがきっかけで付随する工事を任せてもらえる。それは何を売っているかというと、「信用を売っている」わけなんですよね。

ガラス工事とITの事業にあまり繋がりがないように思うのですが

　よく言われますね。ガラス工事と人材業を両方やると、色々な人に「何屋かわからない」と言われます。でも、言い方も2つあって、好意的に言う人は、IT系の人が多いです。IT系の人は色々な業種の方と会うし、1つの業種に縛られない発想の人が多いです。

　やはり、ガラス工事屋はガラス工事だけをしていればいい、という時代ではなくなってきました。今後は、ITを使わないと会社も成長できないし、作業の効率化もできないです。今までは社内のコミュニケーションに電話を使っていましたが、今はLINEを使いますよね。例えば、社員と図面の確認をする時に、今までは電話で「あそこの図面のここ見て」と逐一言っていたけれど、画像を１枚撮ることですぐに認識ができるようになりました。

　どれだけ作業効率が上がったかということなんです。数秒の時間ロスの改善を積み重ねることで、大きな改善につながります。だから、スマートフォンを使って、少しずつ業務の効率化を図る必要があると考えています。

青木さんが考える中小企業の課題は何ですか？

　中小企業の課題は、自社のことを発信できていない、「発信力の無さ」です。中小企業の多くは、自社のことを発信できるツールが無償で提供されているのに、それを使わないんです。それをどんどん使って、「うちの会社はこんな会社で、こんな人が働いててこんなことをしてますよ」と発信しておくことが必要なんですよね。そうでないと、採用もできないです。

　転職ニーズが発生した段階で、「この会社見たことあるなー」というシチュエーションをどれだけ作れるか。転職のニーズがない段階から発信をしておくことで、その後の採用までの導線がすごくスムーズになります。

　徳島で、すごく優良企業なのに、採用がうまくいっていない会社がありました。その会社は、資格や試験の取得の費用を全額負担しています。たとえ希望の業種じゃなくても、そういう制度があるなら応募したいと思う人は必ずいます。まだまだ採用に「お金と時間をかける」という発想がない会社が多いですね。実際に、その会社は、情報を発信することで採用に成功しました。ポリテクセンターに行って、ハローワークの応募要項以外にも「資格に対して積極的なんですよ」と書くことで、3、4人から問い合わせがあったみたいです。そういうチャンスもあるので、結局は発信力が大事なんですよ。

次の記事は、新卒の若者が気をつけるべきことについてお聞きしました。

会社概要

株式会社青木商店／株式会社セッション 【PR枠】